たった1回のセックスでも油断禁物!STD(性感染症)の基礎知識

従来、セックスで感染する淋病や梅毒などの病気は「性病」と言われ、不特定多数の異性とセックスをしている人、あるいは性風俗産サービスの女性従業員やその利用者だけが感染するという誤ったイメージが定着していました。

女性の不妊症の原因に

1999年の「感染症法」によって「性病」という名称は廃止され、真菌(カビの仲間)やウイルス、微生物による感染症もあわせて「性感染症(STD:Sexually Transmitted Disease)」と呼ばれるようになりました。

性感染症は近年、症状が現れにくくなる「無症候化」の傾向が強いため、感染に気が付かないまま放置して不妊の原因となったり、パートナーも感染させてしまうことも珍しくありません。性感染症の予防にはコンドームが基本で、感染が判明したらパートナーにも検査と治療を受けてもらいましょう。

性器クラミジア感染症
微生物のクラミジア・トラコマティスに感染することが発症する性感染症で、10代~20代の若い男女を中心に急増していています。クラミジアは感染力が強く、男女ともに患者数が最も多く性感染症です。女性では排尿痛や下腹部痛などの症状が現れる人は20%程度とされており、大半の人は自覚症状がありません。

クラミジアの感染が進行すると、炎症が奥に進み子宮内膜炎、卵管炎を引き起こし、子宮や卵管の変形や狭窄・閉塞によって不妊となってしまうこともあります。早期に発見できれば、ジスロマック(アジスロマイシン)という抗生物質を1回服用するだけで完治します。

淋菌感染症(淋病)
クラミジアに次いで患者数が多い淋病は、1回のセックスで感染する確率はおよそ30%とされています。症状としては黄色や緑色の膿のようなおりものの増加や不正出血などが挙げられますが、男性に比べて女性は症状が現れにくく、知らずに感染源となっていることがあります。オーラルセックスで喉に淋病が感染する女性が増えており、フェラで喉が痛い性病の代表的な存在です。治療は抗生物質(ロセフィン、ケニセフ、トロビシン)を注射します。

性器ヘルペス
単純ヘルペスウイルス(HSV)の感染によって、性器に水泡ができて、やがて破れて潰瘍ができます。潰瘍は強い痛みがあり、高熱が出ることもあります。性器周辺の知覚神経にウイルスが感染するため、痛みは非常に強く排尿や歩行に支障をきたすこともあります。抗ウイルス薬(ゾビラックス、バルトレックスほか)で症状が治まった後もウイルスは潜伏を続けるため、何度も再発するのが性器ヘルペスの最大の特徴です。

カンジダ膣炎
カビの仲間であるカンジダは「常在菌」といって健康な女性の口腔内、膣、皮膚、消化器にも存在しています。普段は悪さをしませんが、免疫力が低下すると活動が活発になり、外陰部の強いかゆみ、ヨーグルト状のおりものがたくさん出ます。デリケートゾーンのかゆみが現れる性病の代表的な存在です。

ストレスや過労、セックスの刺激などで何度も再発する性感染症ですが、過去にカンジダ膣炎の診断を受けた患者さんの再発例は、薬局で治療薬(フェミニーナ膣カンジダ錠、エンペシド、オキナゾールなど)を購入することで自己治療ができます。

トリコモナス膣炎
主にセックスを介してトリコモナス原虫(寄生虫の一種)に感染することで、外陰部のかゆみ、性交痛、黄色や緑色の泡のようなおりものが出ます。おりものの臭いは生臭いのが特徴です。稀にトイレの便座や公衆浴場などでトリコモナス膣炎に感染したという報告もあります。治療は膣錠や飲み薬で原虫を駆除します。

尖圭コンジローマ
良性型のHPV(ヒトパピローマウイルス)の6型と11型に感染してから2~3か月後に性器に先端の尖ったニワトリのとさかのようなイボが無数できます。ベセルナクリーム5%という塗り薬の登場で、手術をしなくても治療ができるようになりました。

上記の性感染症は、複数が同時感染を起こすことも多く、クラミジアと淋菌は特にその傾向があります。放置していると不妊や母子感染、流産や早産のリスクもあります。またオーラルセックスで喉に感染する女性が増えています。セックスの際にキチンとコンドームを使用しているから、性感染症のリスクは認識しているでしょうが、喉に感染するということを知らない女性は少なくありません。

性感染症の早期発見・予防のために

セックスをはじめ、オーラルセックスやアナルセックスなどの性的な接触によって起こる感染を「性感染」といいます。性行動が活発な10代~20代の若者の10~20%は性器クラミジア感染症に感染しているとされています。

若い女性ほどSTDの感染率が高い

性感染症(STD)の感染率は性的な接触回数に比例して高くなるので、性感染を予防するためには、まずセックスパートナーを限定することが大切です。そして、セックスの最初から最後までコンドームを使用しましょう。喉や肛門の粘膜は損傷しやすいため、オーラルセックスやアナルセックスをするときもコンドームを着用しましょう。

感染者数が最多の性病で、近年若者に急増しているクラミジア感染症は、女性の大半、男性の半数は自覚症状がありません。そのため知らないうちに感染を広げていることがあります。女性の場合は、卵管や腹膜などに炎症が拡大して不妊の原因となることもあります。したがって、婦人科(女性)、泌尿器科(男性)で定期的な検査を受けることが大切です。

またHIV感染症、クラミジア感染症、淋病などは全国の保健所で、無料かつ匿名で検査を受けることができます。性器に違和感があったり、新しいパートナーができたとき、リスクの高いセックスを行った時などは不安をそのままにしないで、検査を受けてみましょう。